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創薬の未来を切り拓く- Chiral SaaSがMolDeskでの分子シミュレーションを革新

  • Author: Chiral Bot
  • Published On: November 1, 2024
  • Category:Events

クラウドの力で創薬研究を加速し、挑戦的な研究を支援するソリューション「Chiral SaaS」がMolDeskと連携。これにより、高度な分子シミュレーションが簡単かつ効果的に実現可能に。

クラウドコンピューティングで研究開発プロセスを合理化し、科学革新を促進するプラットフォームを開発するChiral 株式会社(本社:福岡県福岡市 代表取締役社長:ワン・チン 以下「Chiral」) は、Chiralが開発する科学ソフトウェア向けのクラウドソリューション「Chiral SaaS」が、ドラッグデザイン(薬剤分子設計)・パッケージ・ソフトウェア「MolDesk」(バージョン1.1.95)で利用可能となったことをお知らせします。

これによりこれまでローカル環境で行っていた複雑な科学技術計算を簡単にクラウドGPU環境に移行することができ、分子シミュレーションに必要な時間と計算コストを大幅に効率化することができます。

現在、創薬の計算シミュレーションには高額なハードウェアや専門知識が必要であり、計算リソースの確保には大きな課題があります。特に挑戦的な研究に取り組む余裕が限られ、リソース不足が革新の障害となっている現状があります。

MolDeskは株式会社情報数理バイオ(本社:東京都豊島区 代表取締役:三十尾 潔高)が開発するドラッグデザイン(薬剤分子設計) パッケージソフトウェアで、国内の大学や研究機関、創薬企業に広く導入されています。MolDeskを用いることで、コンピュータ上で実施する創薬シミュレーションを行う上で必要な専門的な知識とノウハウが必要な計算環境やデータ取扱環境の準備を簡単に行うことができます。

しかしコンピュータでのシミュレーションには、性能の高いハードウェア(例:CPU・メモリ・GPUなど)が必要で、大量かつ並列的な計算を長時間実行するにはゲーミングPCではなく、高価なワークステーションが求められます。またその計算処理を支える安定した電力供給も必要です。もし安定的な電力供給ができなければ、計算処理が止まってしまい、長時間の計算を再度実施することになってしまいます。

これにより、長期間を要する創薬シミュレーションでは、限られた時間と資金の中で研究の成果を上げるために、「失敗が許されない研究」に重点が置かれる傾向がありました。その結果、新たな挑戦的な研究に取り組む余裕がなくなっているのが現状です。

Chiral SaaSとMolDeskの組み合わせにより、クラウド上で必要な計算環境を自動的に構築でき、従量課金制でコスト管理が容易になります。これにより、研究者は高価なハードウェアや電力の問題を気にすることなく、創薬研究に集中することが可能となります。

今回のMolDeskとChiral SaaSの連携により、MolDesk上で手軽にクラウドコンピューティングを利用することが可能となり、高性能なコンピュータや電力環境がなしに、高度な創薬計算を効率的に実施することが可能となりました。

Chiral SaaSを用いれば、シミュレーションごとに必要な環境をコスト最適化した状態で自動的にクラウド上に構築できます。そしてMolDesk(バージョン1.1.95)では、簡単にChiral SaaSを実行できるため、創薬研究者はクラウドの環境構築を意識することなく、クラウド上でシミュレーションを実行できます。

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計算はクラウド上で実行されるため、シミュレーション計算で利用した時間だけの従量課金が行われます。また計算リソースの自動管理機能により、予算に合わせた計算ができるため、予算超過や予算消化の未達を防げます。これによりハイスペックなコンピューターを毎年購入する必要がなくなり、機材を更新する手間が省けます。

下記は、Chiral SaaSを組み込んだMolDesk を利用したシミュレーション時間とその費用の一例です。

Simulation DescriptionPerformance (ns/day)Cost for one 1-ns simulation (円)Cost for one 100-ns simulation (円)
6,000 atoms, protein and ligand, equilibration (LIGAND CMET EQ)192.351757,487
36,000 atoms, protein and ligand, equilibration (HIF2A EQ)102.30614114,076
67,000 atoms, protein and ligand, equilibration (CMET)55.02026226,173
82,000 atoms, protein in membrane surrounded by water, MD simulation (benchMEM)81.80617617,603
107,000 atoms, protein and ligand, equilibration (SHP2 EQ)33.32843043,041
2,000,000 atoms, ribosome in water MD simulation (benchRIB)5.0932,819281,922
12,000,000 atoms, peptides in water, MD simulation (benchPEP-h)1.31710,9321,093,179
12,000,000 atoms, peptides in water, MD simulation (benchPEP)1.31610,9401,093,987

  • *コスト最適化されたクラウド環境を必要な時に、必要な時間だけ手軽に利用できます
  • *表では、代表的な創薬分子標的の50,000原子系〜200,000原子系をハイライトしています

Chiral SaaSとMolDeskを連携させることで、創薬研究者は限られた時間や資金リソースの中であっても、挑戦的な創薬研究に専念できるようになり、より効果的で安全性の高い医薬品を提供できるようになります。

なお、このChiral SaaSのサービス開発には、さくらインターネット株式会社のスタートアップ支援プログラム「Link Up」によるクラウドコンピューティング環境の支援を受けており、本サービスは同社が提供するパブリッククラウド「さくらのクラウド」上で提供されています。

Chiralは、革新的なクラウドソリューションを通じて、科学的革新を促進するだけでなく、クラウドコンピューティングの需要を集約することで、クラウドリソースの最適化に貢献していきます。

MolDesk について

MolDesk はIMSBIO 社製の、インシリコ創薬によるドラッグデザイン(薬剤分子設計)・パッケージ・ソフトウェアです。計算エンジンとしてmyPresto5™ を使用しており、PDB の任意の生体分子でGROMACS によるMD 計算とトラジェクトリ解析が試せます。詳細につきましては、https://www.moldesk.comをご覧ください。

myPresto5™ について

myPresto5™ は、バイオ産業情報化コンソーシアム(JBIC) により、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援と、JBIC会費、および開発者らの自主活動によって開発された創薬支援分子計算オープンソース型ソフトウェアです。詳細は、https://www.mypresto5.jpをご参照ください。

Chiral 株式会社について

Chiral 株式会社は、多くの計算処理を必要とする生命科学や創薬分野などのソフトウェアに対して容易にクラウドコンピューティングを実現するバックエンド機能をSaaSとして提供しています。

  • 所在地:福岡県福岡市中央区大名2丁目6番11号 Fukuoka Growth Next
  • 代表取締役社長:ワン・チン
  • 設立:2021年5月
  • Webサイト:https://www.chiral.one

本プレスリリースに関するお問い合わせ

Chiral株式会社

  • TEL: 050-5539-4886
  • E-Mail: info@chiral.one
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